最高裁判所裁判官の国民審査は、私たち有権者が司法の頂点に立つ人物を直接評価できる、数少ない機会です。しかし現実には「よく分からないから空欄」「判断材料がないからそのまま提出」という人も多く、これまで一度も罷免された裁判官はいません。
それでも、最高裁判官が下す判断は、私たちの生活や権利、社会の方向性に長期的な影響を与えます。だからこそ、限られた情報の中でも、その人物の経歴や思想、過去の裁判判断を知ることは、国民審査を考える上で重要です。
本記事では、国民審査の対象となっている高須順一氏について、経歴・学歴、関与した主な判例、思想や価値観、そして同性婚や夫婦別姓といった現代的な論点への姿勢を整理し、国民審査の参考となる情報をできるだけ分かりやすくまとめます。
高須順一とは何者か|経歴と学歴
高須順一氏は1959年10月9日生まれ、東京都出身の法律家です。長年にわたり法学の研究と教育、実務の世界でキャリアを積み、現在は最高裁判所裁判官を務めています。
法律への関心と学生時代
高須氏が法律に関心を持ったのは高校時代だとされています。「人を守る仕組みとは何か」「社会の不公平を是正するために法律はどう機能するのか」といった問題意識が、法学を志す原点だったと語られています。
大学は法政大学法学部に進学し、民法を中心に学びました。指導を受けたゼミは実力派として知られ、理論だけでなく、社会で法がどのように使われるかという実践的視点も養われたとされています。
その後、京都大学大学院法学研究科に進学し、民法研究を深め、法学博士号を取得しました。この「学部での体系的学習+大学院での専門研究」という経歴は、学者出身裁判官としての基盤となっています。
法政大学での長い教育・研究キャリア
大学院修了後は母校・法政大学に戻り、教授として教鞭を執りました。教授、研究科長を歴任し、最終的には名誉教授の称号を得ています。在任期間は約47年に及び、数多くの法曹関係者を育成しました。
専門は民法で、特に債権法や不法行為法に関する研究・講義で知られています。条文の解釈を形式的に行うのではなく、「社会の現実に即して法をどう適用するか」という姿勢が特徴だと評されています。
高須順一の国籍は?
インターネット検索では「高須順一 国籍」というワードが見られますが、結論から言えば、高須氏は日本国籍です。最高裁判所裁判官は日本国憲法および関連法令に基づき、日本国籍を有することが前提となっており、国籍に関する疑義が公式に示された事実はありません。
国籍が検索される背景には、近年の司法判断が多様な人権問題や外国人の権利に関わるものを含んでいること、またネット上での憶測や誤解が影響していると考えられます。ただし、国民審査においては、国籍よりも、その人物がどのような価値観で法を解釈し、判断してきたかを見ることが本質的だと言えるでしょう。
高須順一が関与した主な判例
国民審査の判断材料として最も重要なのが、最高裁判官として、あるいはそれ以前の立場で、どのような事件に関わり、どのような判断を示してきたかです。
一票の格差訴訟
2024年の衆議院選挙において、最大2.06倍の一票の格差があったことについて、高須氏が関与した判決では「違憲状態」との判断が示されました。
これは、選挙制度そのものを直ちに無効とするものではありませんが、国会に対して是正を強く求めるメッセージを含んでいます。多数派の政治判断を尊重しつつも、民主主義の根幹である投票価値の平等を軽視しない姿勢がうかがえます。
ALS患者嘱託殺人事件
ALS患者から依頼を受けて殺害した医師らの刑事責任が問われた事件では、有罪と判断されました。生命の尊厳や自己決定権を巡り、社会的議論を呼んだ事件です。
この判断からは、「個人の苦痛や同情」だけでなく、「法が守るべき生命の価値」や「刑法秩序」を重視する立場が読み取れます。感情論に流されず、法制度全体の安定性を優先する姿勢だと評価する声もあります。
再審・死刑・重大事件への判断
和歌山毒物カレー事件の再審請求については、認めない判断に関与しました。また、強盗致死事件における無期懲役判決を妥当とするなど、厳罰が問題となる事件でも、従来の判例や証拠評価を重視する姿勢が見られます。
これらの判例からは、刑事司法において「慎重さ」「安定性」「先例の重視」を重要視している傾向がうかがえます。
高須順一の思想・価値観
高須氏はアンケートなどで、裁判官としての信念について「法が実現すべき理想を見失わず、同時に法と社会の現実的関係にも目を向ける」と述べています。
これは、理念だけで現実を切り捨てるのでもなく、現実だけで理念を後退させるのでもない、いわば中道的・バランス型の司法観と言えるでしょう。
また、少数意見についても「社会の健全性を維持するために有意義」と述べており、多数意見に安易に流されるのではなく、異なる視点の存在を重視する姿勢が見られます。
過去に外国人留学生の差別的扱いに関わる事件を担当した経験を、自身の原点として語っている点からも、人権や平等に対する一定の問題意識を持っていることがうかがえます。
同性婚・夫婦別姓への姿勢は?
高須順一氏は、同性婚や選択的夫婦別姓について、明確に賛否を表明する発言は公には行っていません。
ただし、これまでの判例や思想から読み取れるのは、「社会的影響の大きい制度変更については、司法が先走るのではなく、立法府の判断を重視する」という姿勢です。一方で、個人の尊厳や平等といった憲法価値を軽視しているわけではなく、将来的に具体的事件が最高裁に持ち込まれた場合、慎重かつ限定的な判断を行う可能性が高いと考えられます。
国民審査においては、「積極的に制度改革を後押しする裁判官を望むのか」「安定的で慎重な司法を望むのか」という視点で評価が分かれる部分と言えるでしょう。
高須順一の評判・評価
法曹界や学界では、高須氏は「誠実で堅実」「理論と実務のバランスが取れている」と評価されることが多い人物です。派手な発言や急進的な判断は少なく、判決文の論理構成の丁寧さに定評があります。
一方、一般の有権者から見ると、「考えが分かりにくい」「無難すぎる」と感じられることもあります。しかし、それは裏を返せば、強いイデオロギーに偏らず、最高裁判官として安定的な役割を果たそうとしている証拠とも言えます。
まとめ|国民審査で何を基準に考えるか
高須順一氏は、長年の研究・教育・実務経験を背景に、法の安定性と現実性を重視する最高裁判官です。人権や平等への関心は持ちながらも、司法が社会を急激に変えることには慎重な立場を取っていると考えられます。
国民審査では、「積極的な社会変革を期待するのか」「慎重で安定した司法を支持するのか」という自分自身の価値観と照らし合わせて判断することが重要です。
空欄のまま提出するのではなく、こうした情報を踏まえた上で一票を投じることこそが、国民審査の本来の意味だと言えるでしょう。

