トリチウム除去が、できない理由とは?水と似たような物質だからです

きれいな海水

福島第一原発の処理水が海洋放出されたことが話題ですが、
その中で、「トリチウムは除去できない!!」といった

処理水が危険であるというような論説をたまに
見かけます。

IAEAがお墨付きを与えてるんだから大丈夫と思うのですが、
トリチウムが除去できない理由が知りたくて調べてみました。

この記事では、
・なぜトリチウムは除去できないのか
・トリチウムに危険性はないのか?
・トリチウムはどうやって処理しているのか?

を調べてみました。

この記事は経産省および資源エネルギー庁のホームページを参考にしています。
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/hairo_osensui/shirou_alps.html
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/osensuitaisaku03.html

トリチウムとは

トリチウムとはいったい何なのでしょうか?

多くの人は、それを知らないから、なんとなく
怖がってしまうのではないでしょうか?

逆に、知ってしまうと、安心です。

トリチウムとは一言で言ってしまうと、
「水素の仲間」です。

ちなみにトリチウム水を原子記号でいうと、
下の図のようになります。

 

トリチウム水は酸素と結びついて、水そっくりの状態になります。

トリチウム水は自然界にも存在していて、
皆さんの周りにも当然あります。

当然、蒸気などに交じって、口に入ったりもしています。

なお、自然界の発生方法としては、Wikipediaによると、
宇宙線が大気中の窒素と反応してできるそうです。

なので、トリチウム自体は、とても身近に
存在する物資なのです。

にも関わらず、皆さん、普通に生活できていますよね。

トリチウムが除去できない理由

トリチウムは現在の技術では除去できません。

それは、トリチウム水が水と非常によく似た
分子構造と性質をもっていますので、
トリチウム水だけを水から取り出すことは出来ません。

混ざってしまうと無理なんです。

じゃぁ、処理水って、とても危険なのかというと、
そんなことは全くありません。

安全な基準値まで希釈して放出しています。

逆にいうと、希釈すれば無害化できるんだったら、
除去する技術って、必要無いんじゃないかって思います。

トリチウムの危険性は?

トリチウムが身近な存在だとしても、
危険性は無いのでしょうか?

人体に影響はないのでしょうか?

とても気になりますよね。

資源エネルギー庁のホームページによると、

人体に影響があるレベルは1年間の被ばく線量で
100ミリシーベルトを超える線量。

ということです。

因みに、レントゲンが0.01ミリシーベルトで、
CTスキャンが10ミリシーベルトです。

レントゲンを1年間に1万回受けると危険ですし、
CTだと10回受けると危険です。

 

で、トリチウムはどうなのかと言うと、

トリチウムの線量は極めて低い

そもそもトリチウムが出す放射線量は極めて低く、
紙1枚で防げるレベルなので、

人体の皮膚を通ることはありません。

では、口から体内に入ってしまったらどうなのかというと
トリチウムは10000ベクレルあたり0.00019ミリシーベルトの
線量を放出するので、100ミリシーベルトまでと考えると

52万6315倍なので、

だいたい52億ベクレルを摂取すると
危険な状態です。

 

いまいちピンとこないので、
福島に海洋放出される処理水をベースに考えましょう。

福島に放出される処理水は1リットルあたり1500ベクレル以下なので、
52億ベクレルを危険値とすると、

52億÷1500=3466666.666

福島の処理水を346万6666リットル摂取すると危険だと言えます。

まぁ、無理です。

あなたは1日に何リットルの水を飲めますか?
2リットルのペットボトルを何本飲めますか?

仮に1年かけてこの水を摂取し続けたとしても
1日あたりが9497リットル。

まぁ、無理です。

体内に蓄積されないか?生物濃縮しないのか?

体内に入った水は10日程度で体外に排出されるので、
蓄積することはないです。

 

トリチウムが有機結合すると危険?

この件に関しては、資源エネルギー庁の
ホームページでは、このように言っています。

炭素や水素などでつくられた化合物「有機物」において、水素原子がトリチウムと置き換えられる(有機結合)場合があります。このような物質を「有機結合型トリチウム(OBT)」といいます。体内に取り込まれたOBTの多くは40日程度で体外に排出され、一部は排出されるまで1年程度かかります。

確かに、OBTの健康影響をトリチウム水と比較すると2~5倍程度となりますが、前述したように、もともとトリチウム水の健康影響は1ベクレルあたり0.000000019で、2~5倍になったとしても、ほかの放射性物質とくらべて特別に健康影響が大きいとはいえません。セシウムから受ける健康影響と比較してみると、約300分の1になります。

 

要するに、有機結合すると、2~5倍程度、線量が増えるのですが、
もともとが低いので、5倍になったからと言って
うふふふふふ。(*´艸`)

ということです。

トリチウム以外の放射性物質は入っていないのか?

ニュースなどを見ていますと、
トリチウムの話ばっかり出てきて、その他の放射性物質は
処理水の中に含まれていないのでしょうか?

とても気になるところですが、
じつはトリチウム以外の放射性物質は
とても除去しやすい性質を持っています。

例えば、他の放射性物質で言えば、
セシウムやストロンチウムが放射性物質の大物ですが、

これらはカルシウムやカリウムにくっつきやすい
性質をもっていますので、

それらを入れておくと、徐々に沈殿していきます。
沈殿が終わった水をろ過するという、結構、単純な方法です。

中には沈殿しにくいものもありますが、
それに関しては、もうちょっと複雑な方法で取り除くようですが、
トリチウムに比べれば除去しやすい物質です。

まとめ

トリチウムは水と似たような分子なので、
水から除去するのは非常に困難です。

ですが、そもそもトリチウム自体は危険性は低く、
薄めてしまえば問題なく海洋放出できます。

イメージとしては、カフェインやアルコールは
人体に危険ではあるけれど、薄めてしまえば、問題ない。

といった感じでしょうか。

福島の処理水はIAEA(国際原子力機関)がお墨付きを
与えるぐらい安全です。

これ以上、騒いでも仕方ないです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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